社長が「これからはDXを進めるぞ」と社内で宣言すると、現場の反応は意外と冷ややかだった。支援の現場で、よく見かける光景です。「またカタカナ言葉か」「自分たちの仕事とは関係のない話だ」と受け取られてしまうのです。
シリーズ「社長のためのDX」の1回目は、DXを始めるときの「言葉の選び方」について整理します。
結論:「DX」という言葉は、いったん使わなくていい
DXという言葉は、いったん封印して構いません。代わりに「面倒な作業を、ちょっと減らそう」くらいの言い方で始めたほうが、現場はずっと動きやすくなります。目指すところは同じでも、言葉が変わるだけで受け取られ方はまったく違います。
なぜ「DX」という言葉は現場に響かないのか
「DX」という言葉には、どうしても「大がかりな改革」「新しいシステムを入れる話」というイメージがつきまといます。現場からすると、自分たちの日々の仕事とは別世界の話に聞こえてしまうのです。
しかし、実際に取り組むことはそれほど大げさではありません。
- 毎回、同じ内容を二度手間で入力している
- あの人しか分からない作業がある
- 確認のために、何度も電話やFAXでやり取りしている
こうした、現場が普段から感じている小さな不満を1つずつ減らしていくことが、取り組みのほとんどを占めます。
社長が最初にかける言葉の言い換え例
社長が最初にかける言葉は、「DXを進める」ではなく、現場の困りごとに寄り添った言葉で十分です。たとえば、次のような言い換えが考えられます。
- 「DXを推進する」→「面倒くさいところを、一緒に減らしていこう」
- 「業務をデジタル化する」→「二度手間になっている作業を、1回で済むようにしよう」
- 「システムを導入する」→「あの人がいないと回らない仕事を、みんなで回せるようにしよう」
言葉を変えると、現場の人も自分ごととして受け取りやすくなります。「何か困っていることはない?」と聞くところから始めれば、取り組むべきテーマも自然と現場から上がってきます。
「ととのえる」と言わずに、サウナに誘う
サウナでたとえるなら、「ととのえる」という言葉を使わずに、「ちょっと楽になろうよ」と誘うようなものです。難しい言葉を使わなくても、たどり着く場所は同じです。

まとめ:言葉を変えることも、立派なDXの第一歩
- 「DX」という言葉は、現場には「別世界の大きな話」に聞こえやすい
- 実際の取り組みは、二度手間や属人化といった小さな不満を1つずつ減らすこと
- 社長の最初の一言は「面倒な作業を、ちょっと減らそう」で十分
「DXと言うと現場の反応が悪い」という場合も、まずは現場の言葉に置き換えるところから一緒に整理します。
シリーズ「社長のためのDX」
- ① 「DX」という言葉を使わずに、現場のデジタル化を始める方法(この記事)
- ② 紙とExcelは悪者ではない。デジタル化すべき業務を見分ける2つの基準
- ③ ツールを1つ入れる前に決めておくべき3つのこと
- ④ 定着しないDXに共通する、たった1つの原因




